カスハラ対策の義務化とは?コールセンターが今見直したい「すれ違い」を減らす顧客対応改善

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2026.10.21
カスハラ対策義務化。コールセンターが今見直したい「すれ違い」を減らす顧客対応改善

「カスハラ対策が義務になったのは知っている。でも、コールセンターの現場で何から手を付ければいいのか分からない」。カスタマーサポートの責任者から、こうした声が増えています。

2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策がすべての事業主の義務になりました。方針を決めて周知し、相談窓口を整え、起きたときに組織で対応する体制が求められます。

一方で、カスハラの多くは、待ち時間や説明の行き違いといった小さな不満から始まります。この記事では、厚生労働省の指針と消費者庁の啓発資料をもとに、従業員を守る体制づくりと、不満を生まない顧客対応改善の両方を整理します。

📌 この記事でわかること
  • ✔カスハラ対策の義務化で、事業主に求められる措置
  • ✔消費者庁の事例でわかる、カスハラの出発点となる「2つの不満」
  • ✔コールセンターで今日から始められる4つの具体策
  • ✔画面を見ながら案内する遠隔サポートの活用方法と導入事例
要約💡
  • 2026年10月1日に改正労働施策総合推進法が施行され、すべての事業主にカスハラ対策が義務付けられました。消費者庁の啓発資料は、カスハラの出発点として「構造的な不満」と「感覚的な不満」の2つを挙げています。従業員を守る体制づくりと、不満を生まない顧客対応改善を両輪で進めることが大切です。

1カスハラ対策の義務化とは?法改正のポイント

まず、法改正で何が変わったのかを確認します。対象となる事業主と、カスハラの定義、義務とされた措置の3点を押さえておきましょう。

🔎 ひとことで言うと
2026年10月1日から、すべての事業主に、カスハラから労働者を守るための雇用管理上の措置が義務付けられました。
根拠となる法律改正労働施策総合推進法
法改正2025年6月
厚生労働省の指針2026年2月26日告示
施行日2026年10月1日
対象すべての事業主

カスハラの定義:3つの要素をすべて満たすもの

厚生労働省のリーフレットでは、次の3つの要素をすべて満たすものを職場におけるカスハラとしています。

①顧客等の言動
顧客や取引先、問い合わせをする人など、事業に関係する人の言動であること。
②社会通念上の範囲を超える
業務の性質などに照らして、要求の内容や、言い方・手段が相当でないこと。
③就業環境が害される
その言動で労働者が苦痛を受け、働くうえで見過ごせない支障が生じること。

電話やSNSなど、インターネット上の言動も含まれます。一方で、顧客からの苦情のすべてがカスハラに当たるわけではありません。正当な意見は、商品やサービスの改善につながる大切な声です。

データで見る:カスハラの相談は増えている

カスハラ対策が義務化された背景には、職場での相談の増加があります。

データで見る
カスハラの相談があった企業
27.9%
過去3年間に、労働者から顧客等からの著しい迷惑行為の相談があったと答えた企業の割合です。前回の2020年度調査から8.4ポイント増えました。
出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」2023年度。数値は政府広報オンラインの記載による

事業主に義務付けられた主な措置

厚生労働省の指針が事業主に求める措置は、大きく次の4つに整理できます。

01方針を決めて周知する
カスハラに毅然と対応し、労働者を守る方針を明確にします。カスハラの内容と、あらかじめ決めた対処の方法も周知します。
02相談体制を整える
相談窓口をあらかじめ決めて周知し、窓口の担当者が適切に対応できるようにします。
03起きたら迅速に対応する
事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者への配慮と再発防止の措置を行います。
04悪質なケースに備える
特に悪質なカスハラへの対処の方針をあらかじめ決めて周知し、実際に対処できる体制を整えます。
🛡 あわせて求められること
相談した人のプライバシーを守る措置と、相談したことを理由に不利益な扱いをしない旨を定めて周知することも、義務とされています。

2なぜコールセンターでカスハラが起きやすいのか

消費者庁の啓発資料には、コールセンターを舞台にした事例があります。どこで不満が積み重なったのかを、流れに沿って見てみましょう。

消費者庁の事例:「上の者を出せ!」までの流れ

1
STEP 1 つながるまで20分待ち
お客さまは、6か月前に予約した航空券の座席をビジネスクラスにアップグレードしたいと電話をかけます。オペレーターにつながるまで20分かかりました。
2
STEP 2 保留3分の後に「承りかねます」
空席待ちのお客さまが多いことを理由に、座席の変更は断られます。お客さまは「半年も前に予約したのに」と怒りを強めます。
3
STEP 3 代替案はその後に
オペレーターは、エコノミークラス前方のゆとりのある座席などを案内します。ただ、すでに怒りが強まった後でした。
4
STEP 4 上司に代わっても解決しない
「上の者を出せ!」と求められ、上司に引き継ぎます。しかし状況は変わらず、20分のクレームの末に通話が終わりました。
💭 通話の後、お客さまが気づいたこと
本当にしたかったのは「出張で疲れずに移動すること」でした。それなら、ゆとりのある座席で十分だったのかもしれません。

資料の解説では、待ち時間によるイライラの蓄積、待たせたことへの説明やおわびの少なさ、代替案を示すタイミングの遅さが指摘されています。上司への引き継ぎも、状況の改善にはつながりませんでした。出典は消費者庁「より良いコミュニケーションのヒント」事例01 コールセンター編です。

カスハラの出発点となる「2つの不満」

同じ資料のまとめでは、カスハラになる前の不満を次の2つに分けています。これらの不満がきっかけとなり、カスハラにつながる危険性が高まると考えられています。

構造的な不満
仕組みや運用への不満
説明不足や対応の遅れなどから生じます。「サービスとして適切か」という評価から生まれる不満です。
待ち時間説明不足対応の遅れ
感覚的な不満
対人のやり取りで生じる不満
言葉遣いや態度、場の雰囲気などから生じます。「自分がどう扱われているのか」という感情から生まれる不満です。
言葉遣い態度場の雰囲気

事例の20分待ちや遅い代替案は、構造的な不満にあたります。また、電話では表情や視線が伝わらず、声と言葉遣いだけで印象が決まります。感覚的な不満に強く反応すると、悪意がなくても感情が先に立ち、表現が激しくなりがちです。

データで見る:きっかけは対応の遅れと説明不足

厚生労働省の調査でも、カスハラに発展した原因として、対応の遅れや説明不足が上位に挙がっています。業種は異なりますが、問い合わせ窓口にも通じる結果です。

データで見る
カスハラに発展した原因の上位
顧客対応・サービス等の遅延71.2%
対応者の説明・コミュニケーションの不足63.6%
対応やサービスを提供する側の不備が、カスハラのきっかけになっている場合も多いという結果です。
出典:厚生労働省が2024年に行った、スーパーマーケット業界のカスタマーハラスメント実態把握調査。企業調査で、複数の原因を選ぶ形式。数値は政府広報オンラインの記載による
⚖ 線引きは現場任せにしない
資料は、カスハラは特定の「困った人」だけの問題ではないとしています。誰の心にもある不満や焦りが、状況によって行き過ぎた形で表れるという考え方です。だからこそ、現場の担当者が一人で判断するのではなく、組織として基準を持つことが大切です。

3カスハラ対策は「守り」と「予防」の両輪で

カスハラ対策は、起きたときに従業員を守る「守り」と、起きる前に不満を減らす「予防」に分けて考えると整理しやすくなります。

守りは、法律で義務とされた措置そのものです。予防は、消費者庁の資料が勧める、カスハラの出発点となる不満に着目した取り組みです。資料は、構造的な不満には待ち時間の見通しや手続の理由、対応の基準を組織として見直すこと、感覚的な不満には第一声の印象や表情、説明の間の取り方への配慮が有効だとしています。

🛡 守り従業員を守る体制🌱 予防不満の発生源を減らす
目的従業員が一人で抱え込まない仕組みをつくるカスハラの出発点となる不満を減らす
取り組み1方針の明確化と周知毅然と対応し、労働者を守る待ち時間・手続・対応基準の見直し構造的な不満を減らす
取り組み2相談窓口の設置担当者が適切に対応できるようにする第一声・表情・説明の間への配慮感覚的な不満を減らす
取り組み3事実確認と再発防止悪質なケースへの対処体制も整える顧客対応力を高める研修自社の商品やサービスの理解も深める
位置づけ法律上の義務改正労働施策総合推進法と指針望ましい取組指針・消費者庁資料で推奨
💡 ポイント
指針は、顧客等への対応力を高める研修を、カスハラの原因や背景を解消するための望ましい取組としています。政府広報オンラインも、顧客対応力の強化や対応マニュアルの整備とともに、対応者を一人にしないことや組織として対応することが効果的だと紹介しています。

4今日から始めるカスハラ対策の4つの具体策

ここからは、コールセンターや問い合わせ窓口ですぐに取りかかれる具体策を紹介します。01から03は義務とされた措置に、04は不満を減らす予防にあたります。

01対応方針を明文化し周知する
「組織として対応し、従業員を守る」方針を文書にします。指針は、あらかじめ決めておく対処の例として次のものを挙げています。
管理監督者に指示を仰ぐ可能な限り一人で対応させない犯罪に当たり得る言動は警察へ通報本社・本部と情報を共有
02引き継ぐ基準と流れを決める
どんな状況で、誰に引き継ぐかを決めます。指針の典型例が目安になります。引き継いだ後に対応をどう変えるかまで決めておきましょう。
執拗にくり返される要求人格を否定する発言長時間の電話での拘束
03やり取りを記録する
指針は、事実関係を迅速かつ正確に確認することを求めています。通話の録音や対応履歴があれば「言った・言わない」を避けやすくなり、研修の教材にもなります。
04同じものを見るサポートへ
構造的な不満を減らすには、早く状況をつかみ、早く解決することが欠かせません。IT製品やサービスの問い合わせでは、お客さまと同じ画面を見ることがその近道になります。
📞 電話対応で不満をためないコツ
  • ✅冒頭で、お客さまが本当にしたいことを確認する
  • ✅待たせたときは、理由を説明しておわびする
  • ✅断るときは、代替案を早めに示す
  • ✅説明が伝わりにくいときは、言葉以外の手段も使う

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5RemoteCallの機能と導入事例

具体策04を実現する方法の一つが、遠隔サポートツールです。ここでは、RSUPPORTの遠隔サポートツール「RemoteCall」を例に、活用のイメージを紹介します。

🖥お客さまの画面を見て案内
接続したPCやスマホ、タブレットの画面を見ながら、必要に応じて遠隔で操作できます。どこでつまずいているかを、言葉だけに頼らず確かめられます。
✏描画・チャット・ビデオ通話
画面への描画や、テキスト・音声のチャット、ビデオ通話を使えます。操作する場所を目で見て伝えられるため、説明の行き違いを減らせます。
🎥サポート中の画面を録画
遠隔サポート中の画面を録画して保存できます。対応の経緯を振り返る記録として、事実確認や対応品質の改善に役立てられます。
🔒管理機能とセキュリティ
IP・MACアドレスによるアクセス制御などのセキュリティ機能や、権限や利用統計を確認できる管理者機能を備えています。

Webブラウザからサポートできる機能や、ファイル転送にも対応しています。機能の詳細はRemoteCallの機能ページをご覧ください。

導入事例1:NTTドコモ「あんしん遠隔サポート」

スマートフォンの使い方を案内するNTTドコモの「あんしん遠隔サポート」では、国内3か所のコールセンターでRemoteCallが使われています。

サービス開始
2012年3月
累計契約数
2,000万超
利用拠点
国内3か所
業種IT・通信
課題スマートフォンの普及で問い合わせが急増。電話の口頭説明だけでは伝えにくく、応対時間が長くなり、応答率と顧客満足度が下がっていた
使い方オペレーターがお客さまの端末画面を見ながら対応し、描画で操作する場所を示す
選ばれた理由
  • ✅画像圧縮技術にすぐれ、お客さまが負担する通信量を抑えられる
  • ✅セキュリティ
  • ✅海外を含む導入実績
🎉 導入の効果
端末の画面を直接確認できるため、迅速に対応でき、お客さまの要望もつかみやすくなりました。問題が速やかに解決することから、一度使ったお客さまがくり返し利用するケースも多いといいます。

詳しくはNTTドコモ様の導入事例をご覧ください。

導入事例2:阿蘇テレワークセンター

熊本県阿蘇市で光インターネット接続サービスを提供する阿蘇テレワークセンターでは、60〜80代を中心とする利用者のサポートにRemoteCallを使っています。

自宅訪問の削減
約300件
年間コストの削減
5万円以上
年間のリモート対応
約300件
業種IT・通信
課題新規の依頼が増え、遠方への訪問が多かった。1回の出張に片道約40分かかっていた
使い方簡単な相談は電話で受け、電話で約20分以上かかりそうな場合はリモート対応に切り替える
選ばれた理由
  • ✅課題を解決できることに加え、費用対効果が高い
  • ✅料金が安く、標準の機能が多い
  • ✅2週間の無料トライアルで確かめてから導入できた
🎉 導入の効果
前年と比べて自宅でのサポートが約300件減り、出張費や交通費、人件費を減らせました。接続までの時間も短くなり、お客さまを待たせる時間が減っています。利用者からは「便利になった」という声が寄せられています。

詳しくは阿蘇テレワークセンター様の導入事例をご覧ください。

💡 事例から見えるポイント
どちらの事例も、口頭の説明だけでは伝わりにくい場面で画面を見るサポートに切り替え、解決までの時間を短くしています。阿蘇テレワークセンターの「約20分以上かかりそうならリモートへ」という基準は、具体策02の引き継ぐ基準づくりの参考にもなります。
💡 ツールと体制はセットで
遠隔サポートツールは、説明の行き違いや解決までの時間を減らす手段の一つで、カスハラそのものをなくすものではありません。方針や相談窓口などの体制づくりと組み合わせて活用しましょう。

6よくある質問(FAQ)

Qカスハラ(カスタマーハラスメント)とは何ですか?
Aカスハラとは、顧客等の言動のうち、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものを指します。厚生労働省の指針では、この3要素をすべて満たすものをカスハラと定義しており、電話やSNSなどインターネット上の言動も含まれます。正当なクレームのすべてがカスハラに当たるわけではありません。
Qカスハラ対策の義務化は、どの企業が対象ですか?
A2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法により、すべての事業主に、カスハラから労働者を守るための雇用管理上の措置が義務付けられました。コールセンターや問い合わせ窓口を持つ企業はもちろん、店舗や施設で顧客と接する事業主も対象です。
Qコールセンターでカスハラが起きやすい理由は何ですか?
A消費者庁の啓発資料は、カスハラになる前の不満を、説明不足や対応の遅れによる「構造的な不満」と、言葉遣いや態度による「感覚的な不満」に分けています。電話対応では待ち時間や保留で構造的な不満がたまりやすく、表情が見えない分、言葉遣いや説明の仕方が印象を大きく左右します。こうした不満がきっかけとなり、カスハラにつながる危険性が高まると考えられています。
Q遠隔サポートツールはカスハラ対策にどう役立ちますか?
ARemoteCallのような遠隔サポートツールを使うと、お客さまの画面を見ながら案内できるため、言葉だけで説明する場面を減らし、解決までの時間を短くしやすくなります。サポート中の画面を録画して保存する機能もあり、対応の経緯を振り返る記録として役立てられます。
Qカスハラ対策として今日から始められる具体策は何ですか?
A①対応方針の明文化と周知、②相談窓口とエスカレーションの流れの設定、③通話録音・対応履歴などの記録、④言葉だけの説明から同じ画面を見るサポートへの切り替え、の4つから始められます。①と②は指針で義務とされている措置そのもので、③は義務とされる「事実関係の迅速かつ正確な確認」に役立ちます。

7まとめ:従業員を守り、顧客満足も高める

カスハラ対策の義務化は、問い合わせ対応のあり方を見直す良い機会です。最後に、この記事の要点を振り返ります。

✅ この記事のおさらい
  • 法改正:2026年10月1日から、すべての事業主にカスハラ対策の措置が義務付けられました
  • 求められる措置:方針の周知、相談体制、事後の迅速な対応、悪質なケースへの備えがありました
  • 2つの不満:カスハラの出発点には、構造的な不満と感覚的な不満がありました
  • 守りと予防:体制づくりと、不満を減らす顧客対応改善を両輪で進めることが大切でした
  • 具体策:方針の明文化、引き継ぎの基準、記録、同じ画面を見るサポートの4つから始められます
  • 導入事例:NTTドコモや阿蘇テレワークセンターでは、画面を見ながらのサポートで口頭説明や訪問の負担を減らしていました

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